2010-01-01から1年間の記事一覧

ブーメラン

この次 春が来たならばきっとあの人は帰ってくるわあたしのところにだっていつもそうだもの

宛名

彼女の長い長い宛名を書くだけで、いつも三時間かかってしまう。 これなら、彼女に会いに行って、直接想いを伝えた方がよかったかな。

忘却

忘却とは 己の存在を脅かす 闘うべき相手である 忘却とは 一生を添い遂げる 愛しい相手である

メルヘン

銀河を旅して、遥々メルヘンの星に辿り着いた。 あまりにも長い旅だったので、尿意を我慢しきれずトイレを探したのだけれど、全くどこにも見当たらなかった。 やっぱり、メルヘンの星なんだな。

まるで

砂の塔が 風に 静かにさらわれてゆくかのよう あなたに見つめられると ぼくは

扉を閉めておこう 自分さえも入れないように

ボタン

そのボタンを押せば いつでもあの人会える そのボタンを押せば 幸せだった あの頃にも行ける そのボタンを押せば 思い描く 未来にも行ける そのボタンを押せば 何回も 人生のやり直しができる そう そのボタンをあなたが 無事に押すことが できるのであれば

シャボン玉

僕らは、シャボン玉の泡の中で、暮らしている。 風が吹いたり、雨が降ったりで、いつこの泡が弾けてしまうのか心配で、ちっともメルヘンな気持ちになれないんだ。

ある場所で説明係をしている。ここを訪れるあらゆる人々に、同じことを一日に何万回と説明している。 時々様々な質問を受けることがあり、日々の退屈さを紛らわすことができていたが、やはり質問の内容もまた同じようなもので、退屈さの日々に埋もれてしまっ…

僕の顔は、見方によっていろんな人の顔に似ているらしい。だから、いろんな場所でいろんな人に声を掛けられるんだ。 僕のうんざりするこの気持ちを、いろんな人に伝えても、誰もわかってもらえない。

人間だもの

「人間だもの、失敗はつきものさ。」って励まされるたびに、とっても悲しい気持ちになるんだ。 みんなには気付かれてないけれど、一応僕は、高性能サイボーグなんだもの。

鼻毛を抜こうとしても抜けなくて、引っ張ると、どんどんどんどん伸びてくる。ちょうど手品で口から小さな国旗が次々出てくるみたいに、鼻毛はどんどん鼻の穴から伸びてくる。やっと長い鼻毛が抜けて、ふと気付くと頭の毛がなくなっていた。 どうやら人の毛と…

時計

「あいつ、時計のくせに、ちっとも時間を守らないんだ!」って、ボールペンが言ってた。 普段は先っちょ丸くて穏やかなのに、あれはかなり怒ってたな。

作風

ハニカミ屋のキャンバスちゃんは、画家の彼に見つめられて、いつも顔を真っ赤にしていたんだ。 その頃の彼の作風が、「赤の時代」と呼ばれているのは、そういう理由だったのさ。

眠れない夜は

眠れない夜は 公園の水たまり 風に吹かれながら 顔もカラダも 揺らめいて

人間とは よく喋る生き物だ ぼくは喋る代わりに 唄をうたうことにした

手紙

いつか あなたに書いて送った手紙 結局は 自分自身に書いて送ったようなものに思うんだ

地平線

もうそろそろ 君の胸の辺りを通過する頃なのに ずっと地平線が続いているよ

待ち合わせ

真っ白なキャンバスの上で 君と待ち合わせふたり掛けの 小さなベンチを描いておくよだって 何にも目印が無いんだもの

数学

君はぼくに 数学の問題の解き方を 丁寧に教えてくれているんだけれど ぼくは君に見惚れてしまっていて ちっとも頭に入らない恋に落ちるのは この数学の問題を解くよりも 簡単だ恋を実らせるのは この数学の問題を解くよりもかなり難しそうだ

おしり電話

ポポロン 「しりりりん〜、しりりりん〜。コポロンちゃん、君のおしり電話が鳴ってるよ!」コポロン 「あっ、ほんとだ。はいっ、もしもしり…。」ポポロン 「だれから?」コポロン 「ポポロンのおしりあいのひとからだって〜。」

チェンジ

いつまでも世界が変わらないなら 自分だけでも変わってやろう

はらんばんじょー

四歳のポポロン 「ママ、はらんばんじょーってなに?」ママ 「じんせいでいろいろあることだよ。」四歳のポポロン 「ふ〜ん。」

マネ

僕は彼女のマネをしているだけなのに、そんなこと知らないあいつは、僕のマネをしょうとして僕をマネている。しかし、みんなは、あいつがまさか僕のマネをしていることなんて知らずに、あいつをマネしょうとしてあいつをマネるのだろうな。きっと。

アルバイト

君の大きな瞳がこぼれ落ちないように、瞼の裏で支えているアルバイトを始めたよ。

感謝

僕らの掲げる、「正義」というものの犠牲となって倒されてくれた怪人、怪獣たちよ、心からありがとう。

絵本

絵本の中の君は、悲しくていつも泣いているから、ぼくが絵本の話をすっかり変えてしまって、君がずっと笑っているようにしてあげい。

蝉時雨

蝉は 生まれる前から とても淋しいから 「せみしいせみしい」って いつも泣いているんだ

青春時代

コポロン 「でんき消すと部屋が暗くなっちゃうね?」ポポロン 「コポロンちゃん、まだ明るい方だよ。ぼくの青春時代に比べたら…。」

おはなし

まだ誰もいないお部屋で 小さなイスたちが 小さな声で 何かおはなししてました