2009-04-15 扉 神様から唯一与えられた扉 一生に一度だけ自分の行きたい所を念じて開けば すぐさまそこへとたどり着く扉を与えられた孤独な男 扉の向こうに広がる様々な世界について あれやこれやと想いを巡らすことで 一生の大半を過ごした男は 今までどんなことがあっても決して扉を開こうとしなかったやがて月日は流れ去り 男はすっかり年老いていた 立ち上がることも 歩くこともままならない男だったが 最期の力を振り絞って 扉のノブに手を掛けながら呟いた「天国へ...。」