神様から唯一与えられた扉
一生に一度だけ自分の行きたい所を念じて開けば
すぐさまそこへとたどり着く

扉を与えられた孤独な男
扉の向こうに広がる様々な世界について
あれやこれやと想いを巡らすことで
一生の大半を過ごした

男は
今までどんなことがあっても決して扉を開こうとしなかった

やがて月日は流れ去り
男はすっかり年老いていた
立ち上がることも
歩くこともままならない男だったが
最期の力を振り絞って
扉のノブに手を掛けながら呟いた

「天国へ...。」