雨のカラダ

その男は
雨のカラダ
いつも謎めいたことを言っている

しかし
誰にもわからない
激しい雨音にかき消され
さらに何を言っているのか
いつも瞳は濡れているが
泣いているのかそうでないのか
知るヨシもない


水溜まりはその男の足跡
辿っていけばいつも雨のケハイ

静かなる雨の日
その男が街中すべてとなる
傘を忘れたあなたも
公園のベンチも
駅の時計台も
思い出に続く道さえも


その男は雨を降らせる雨男ではない
もうすでに降っているから

艶やかに降り続く雨の中
はじめからヤンでいる人々より
はるかにいいではないか

乾く心に

水浸し

有り難し